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高齢者の一人暮らしと犬 ― 見つめ合うだけで得られる癒し効果

一人暮らしを始める、あるいは続けるシニア世代にとって、犬をはじめとするペットは大切な家族であり、日々の暮らしに欠かせないパートナーです。「歳を重ねても、この子と離れたくない」——そうした思いから住まい選びに悩む方は少なくありません。今回は、高齢者が犬と暮らすことでどのような効果が期待できるのか、具体的にご紹介します。

見つめ合うだけで分泌される「幸せホルモン」

犬と見つめ合うとき、私たちの脳内では「オキシトシン」というホルモンが分泌されることが知られています。オキシトシンは心を落ち着かせ、ストレスを和らげる働きを持つホルモンで、犬との触れ合いによる分泌量は、人同士の触れ合い以上ともいわれています。特別なことをしなくても、そばにいて見つめ合うだけで得られる癒し——これは、一人暮らしのシニアにとって大きな心の支えになります。

認知症予防・介護費用の抑制につながる可能性

犬を飼っている方は、飼っていない方と比べて認知症の発症リスクが40%低いという研究結果が、東京都健康長寿医療センター研究所より報告されています(2023年、科学誌「Preventive Medicine Reports」掲載)。日々のお世話や散歩を通じて運動習慣や社会とのつながりを維持できることが、リスク低下の要因と考えられています。なお、同じ調査では猫の飼育者に同様の傾向は見られなかったとされており、犬ならではの効果といえそうです。

また、同センターが東京都大田区の高齢者約1万人を3年半にわたり追跡した別の調査では、犬・猫を飼育している方は、飼育していない方に比べて介護保険サービスの利用費用が約半額に抑えられていたことも報告されています(2023年、科学誌「PLOS ONE」掲載)。犬との暮らしは心の健康だけでなく、将来的な備えにもつながる可能性があります。

規則正しい生活習慣と、自然な運動習慣

犬との暮らしは、生活に「張り」をもたらします。毎日決まった時間の食事やお散歩は、規則正しい生活リズムを自然と作り出し、散歩そのものが無理のない運動習慣になります。一人暮らしでは崩れがちな生活リズムも、犬のお世話を通じて整いやすくなるのは、大きなメリットのひとつです。

お散歩がつなぐ、地域とのつながり

犬の散歩は、外に出るきっかけになるだけでなく、他の飼い主さんとの何気ない会話や挨拶を生み、社会的なつながりを育みます。一人暮らしでは人と話す機会が少なくなりがちですが、犬を介した交流は、無理なく自然に人とつながれる貴重な機会です。

お世話をする、という生きがい

小さな命のお世話をするということは、大きな責任であると同時に、大きな生きがいにもなります。「この子のために、今日も元気でいよう」——そうした前向きな気持ちが、日々の暮らしに張りを与えてくれます。

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